RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。赤ちゃんのために、RSウイルスワクチンへの理解と接種について一度考えてみてください。
このような方におすすめ
- 妊娠24週から36週の妊婦さん
- 生まれてくる赤ちゃんにRSウイルスの免疫を獲得したい方 など
RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。生まれたばかりの赤ちゃんから高齢者まで感染します。
生まれてから6ヶ月以内の赤ちゃんの免疫は未成熟であり、RSウイルスに感染すると重症化することがあるため注意が必要です。※1
生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。※2
重症化した場合、酸素吸入や点滴などの処置のため入院が必要です。
※1. 堤裕幸, ウイルス55(1), 77. 2005
※2. National Institute of Infectious Diseases,RSウイルス感染症とは,https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/alphabet/rs-virus.html, (参照 2024-12-17)
RSウイルス感染症状
RSウイルスに感染した場合、以下の症状が現れます。※3
- 発熱
- 鼻汁
- ひどい咳
- 喘鳴(ぜんめい)が出る
- 呼吸困難
30%の乳幼児ではその後、細気気管支炎や肺炎などを引き起こして重症化し、ひどい咳やゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などの症状が見られミルクの飲みが悪くなる場合があります。※1
※1. 堤裕幸, ウイルス55(1), 77. 2005
※3. 厚生労働省,RSウイルス感染症Q&A(令和6年5月31日改訂), https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html, (参照 2024-12-17)
RSウイルスワクチン「アブリスボ」とは
生後数ヶ月の赤ちゃんの免疫機能は、十分発達しておらず、ワクチンを直接接種しても病原体に対する抗体が作られにくいと言われています。※4※5
現在、RSウイルスワクチンで赤ちゃんに直接接種するものはありません。(2024年12月現在)
そのため、母子免疫を利用し赤ちゃんのRSウイルス感染症を防ごうというワクチンが考え出されました。
「アブリスボ」は妊娠中のお母さんに接種するRSワクチンとして、赤ちゃんのRSウイルス感染症に対する予防効果が期待されます。
日本小児科学会は、RSウイルス母子免疫ワクチンへの理解と接種が進むことを期待いたします。
【 母子免疫 】
生まれた赤ちゃんは生後数ヶ月間の間、体内で十分な量の抗体(細菌やウイルスを除こうとするもの)を作ることができず、免疫機能が未熟であることが知られています。※7
一方で、胎盤やへその緒を通して、抗体の一部を受け取って生まれてくるため、赤ちゃんが感染症にかかりにくくなり、このことを「母子免疫」と言います。※6
RSウイルスワクチン「アブリスボ」を妊娠中のお母さんに接種することにより、生後数ヶ月の間、赤ちゃんをRSウイルスから守ります。※4※8
※5. 山本初実 他, 国立医療学会誌57(7):456, 2003
※6. Faucette A et al., Hum C Vaccin Immunother 11(11):2549,2015
※7. 西山幸廣: 実験医学26(18):2884, 2005
※8. Cinicola B et al.:Front Pdiatr 9: 1, 2021より改変
接種の流れ
【 ご予約 】
・Web診療予約より「診察」→「予防接種(その他)」枠を選択してご予約していただきます。
・または、妊婦健診の来院時に「RSウイルスワクチン(アブリスボ)」の接種希望を伝えてください。(妊婦健診と接種が可能です)
※当院が利用するRSウイルスワクチンはファイザー社製となります。
○時間枠や診察医師の指定まで可能な『かんたんWeb予約』はこちら→Web診療予約
【 接種 】
予診票をお渡ししますので、ご記入をお願いします。
- 予診票記入
- ワクチン接種
【 接種後 】
接種後は以下をお願いしております。
- 接種後、15〜30分待機(状態の変化があった際は、お知らせください。)
- 接種を受けた日の運動は控える
補足および注意事項
以下の方は受けることができません。
- 明らかに発熱のある方
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
- ワクチンの成分である不活化したウイルスのタンパクに対して重度の過敏症の既往歴がある方
- その他、医師が予防接種を受けることが不適当と判断した方
以下に該当する方は医師や看護師に相談ください。
- 血小板が少ないあるいは出血しやすく治療中である方
- このワクチン成分である不活化したウイルスのタンパクに対してアレルギーがある、もしくは前回のワクチン接種でアレルギー様症状の副反応が見られた方。
- 心臓や肝臓、腎臓、血液の異常を指摘されたことがある方。
- 過去に免疫状態の異常を指摘されたことがある、もしくは近親者に先天性免疫不全の方がいる方
- 授乳中の方
副反応として以下のような症状、接種後ストレス関連反応が起こることがあります。
- めまい、睡眠障害、たちくらみ
- 注射部位が赤くなる、腫れる、硬くなる、熱をもつ、痛くなる、しびれる、かゆくなる、内出血になる
- 発熱、悪寒、倦怠感、疲労、無力症、頭痛、感覚鈍麻、失神、浮動性めまい、四肢痛、関節痛、筋肉痛、腹痛、下痢、嘔吐、悪心
- 稀ににショック、アナフィラキシー(これらの症状が疑われたら、すぐに医師にお申し出ください)
- その他に強い副反応が生じていると感じたら、すぐに医師にお申し出ください
体の痛みやしびれ、だるさなどの副反応と思われる異常が続く時や強い副反応が現れた時はご連絡ください。状況に応じて検査、処置や副反応症状に関する診療の協力医療機関へご紹介いたします。
また、健康被害が生じた場合の救済については、健康被害を受けた人または近親者が、『独立行政法人 医薬品医療機器総合機構法』に基づいて手続きを行うことになります。
参考 ファイザー株式会社, 生まれてくる赤ちゃんのために, 2024年5月
最後に、他のワクチン接種についてはこちらから
○時間枠や診察医師の指定まで可能な『かんたんWeb予約』はこちら→Web診療予約
○待ち時間短縮のため、初診の方の『問診票』ダウンロードはこちら→問診票PDF (紙の問診票はご自宅でプリントして予めご記入の上お持ちいただくと、受付がスムーズに進みます。)
○予約後には『web問診』も利用可能です。詳しくはこちら→Web問診について