『子宮頸がん予防ワクチン接種(HPVワクチン接種)』は、厚生労働省より定期接種も行われているHPV感染症(ヒトパピローマウイルス感染症)を防ぐワクチンです。
子宮頸がん予防ワクチン接種はこのような方にオススメ
- 公費が利用できる年齢の方(小学校6年~高校1年相当の女の子)
- キャッチアップ接種ができる方(平成9年度生まれ〜平成18年度生まれの女子)
- 子宮頸がん予防ワクチンを接種したことが無い方 など
HPV感染症(ヒトパピローマウイルス感染症)とは?
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、性的接触のある女性であれば半数以上が生涯で一度は感染するとされている一般的な性感染症ウイルスです。
男性にも女性にも感染するありふれたウイルスです。HPVのウイルス型が種類あるのも特徴です。
HPVは子宮頸がんだけでなく、肛門がん、膣がんなどの様々ながんや尖圭コンジローマなど多くの病気の発生に関わっています。
近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えています。
子宮頸がんは子宮がんのうち約7割程度を占めます。以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。
公益社団法人 日本産婦人科学会
国内では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しており、また2000年以後、患者数も死亡率も増加しています。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)とは
ワクチン接種により、HPV感染率や前がん病変の頻度が接種をしていない人に比べて減少することが明らかになっています。
『子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)』は性交渉を経験する前の10歳代前半に接種することが推奨されています。
日本では、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、公費が利用できる定期接種が行われています。
当院では、掛川市、菊川市、御前崎市、袋井市の公費が利用できる定期接種が可能です。
ワクチンには現在3種類あり定期接種の対応種類も増えてきています。
- サーバリックス(2価ワクチン)
- ガーダシル(4価ワクチン)
- シルガード9(9価ワクチン)
当院では、特に指定がない場合の初回子宮頸がん予防ワクチン接種の種類は「シルガード9(9価ワクチン)」になります。
他の種類をご希望の方は、予約後にお電話にてご連絡ください。
※定期接種に対応したワクチンは急遽変更される場合がございます。対応ワクチンの詳細はの予防接種担当課にお尋ねください。
※キャッチアップ接種では、シルガード9も公費対象になります(2023年4月現在)。詳細は市町村の予防接種担当課にお尋ねください。
ワクチンの種類について詳しく説明いたします。
【 サーバリックス(2価ワクチン) 】
効能・効果 | HPV16型、18型に起因する子宮頸がん(扁平上皮がん、腺がん)の予防 |
特徴 | 高リスク型のHPV16型、18型の予防ができる(日本での感染率65.4%をカバー) |
接種回数 | 3回(1回目接種より1年以内に接種を終えるのが望ましい) |
接種間隔 | 2回目(1回目より1ヶ月後)、3回目(1回目より6ヶ月後) |
※製品の詳細を知りたい方はGSK「医療用医薬品 サーバリックス」よりご確認ください。
【 ガーダシル(4価ワクチン) 】
効能・効果 | HPV6型、11型、16型、18型に起因する子宮頸がん(扁平上皮がん、腺がん)、 尖圭コンジローマなどの予防 |
特徴 | 高リスク型のHPV16型、18型の予防ができる(日本での感染率65.4%をカバー) 低リスク型のHPV6型、11型の予防ができる(尖圭コンジローマなどの原因が予防できる) |
接種回数 | 3回(1回目接種より1年以内に接種を終えるのが望ましい) |
接種間隔 | 2回目(1回目より2ヶ月後)、3回目(1回目より6ヶ月後) |
※製品の詳細を知りたい方はMSD Connect「ガーダシル/シルガード9 製品基本情報」よりご確認ください。
【 シルガード9(9価ワクチン) 】
効能・効果 | HPV6型、11型、16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型に起因する子宮頸がん (扁平上皮がん、腺がん)、尖圭コンジローマなどの予防 |
特徴 | 高リスク型のHPV16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型の予防ができる (日本での感染率88.2%をカバー) 低リスク型のHPV6型、11型の予防ができる(尖圭コンジローマなどの原因が予防できる) |
接種回数 | 9歳以上15歳未満:2回※ または3回 15歳以上:3回 (※接種回数2回:2回目接種が1回目より5ヶ月経過していない場合は、3回接種になります) (1回目接種より1年以内に接種を終えるのが望ましい) |
接種間隔 | 2回接種: 2回目(1回目より6〜12ヶ月後) 3回接種: 2回目(1回目より2ヶ月後)、3回目(1回目より6ヶ月後) |
※製品の詳細を知りたい方はMSD Connect「ガーダシル/シルガード9 製品基本情報」よりご確認ください。
【対象】日本人女性で組織学的にICCと診断された症例のうち単感染として検出された306例
【方法】多施設より提供された1990~2017年の検体から、PCRでHPV遺伝子の検出および型判定を行った。
【参考文献】
1) Sakamoto J et al. Papillomavirus Res. 2018; 6: 46-51.より作図
2) Serrano B et al. Infect Agent Cancer. 2012; 7: 38-50.
副反応のリスクもある事から、公費が利用できる定期接種を積極的に推奨していませんでした。
子宮頸がんワクチン接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回るとして、令和3年11月26日より積極的に推奨をするようになりまりた。
子宮頸がん予防ワクチン接種のメリット/デメリット
【 メリット 】
上記でも説明しましたが、まとめると以下になります。
- 子宮頸がんを予防
- 種類により肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマなどを予防
【 デメリット 】
以下のデメリットがあります。副反応やアレルギー反応の詳細は「補足および注意事項」に記載しております。
- 人により副反応やアレルギー反応がある
- リスクは下げるが確実ではないため、子宮頸がん検診を定期的に行うことも推奨される
(国で推奨される子宮頸がん検診:20歳以上の女性全員、2年に1度)
※子宮頸がんワクチンの公費利用の定期接種の方は、厚生労働省『小学校6年~高校1年相当の女の子と保護者の方へ』を一度ご確認ください。
接種の流れ
【 ご予約 】
Web診療予約より「診察」→「子宮頸がんワクチン接種(9価)」枠を選択してご予約していただきます。
※当院では、特に指定がない場合の初回の子宮頸がん予防ワクチン接種の種類は「シルガード9(9価ワクチン)」になります。
※シルガード9(9価ワクチン)以外の子宮頸がん予防ワクチン接種をご希望の方は、「診察」→「予防接種(その他)」枠を選択してください。ご予約後、お電話にてご希望の種類をご連絡ください。
○時間枠や診察医師の指定まで可能な『かんたんWeb予約』はこちら→Web診療予約
【 接種 】
予診票がある方は、ご来院した際に受付お渡しください。
予診票がない方は、予診票をお渡ししますので、ご記入をお願いします。
- 予診票記入
- ワクチン接種
※定期接種は特定の予診票がありますので事前に記入してください。
※当院では、掛川市、菊川市、御前崎市、袋井市の公費が利用できる定期接種が可能です。
※当院では、特に指定がない場合の初回の子宮頸がん予防ワクチン接種の種類は「シルガード9(9価ワクチン)」になります。
他の種類をご希望の方は、予約後にお電話にてご連絡ください。
【 接種後 】
接種後は以下をお願いしております。
- 接種後、30分待機(状態の変化があった際は、お知らせください。)
- 接種を受けた日の運動は控える
※子宮頸がんワクチンの公費利用の定期接種の方は、厚生労働省『HPVワクチンを受けたお子様と保護者の方へ』を一度ご確認ください。
補足および注意事項
以下の方は受けることができません。
- 明らかに発熱のある方
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
- 過去に子宮頸がん予防ワクチン接種を受けてアナフィラキシー、過敏症を呈したことがある方
- その他、医師が予防接種を受けることが不適当と判断した方
副反応として以下のような症状、接種後ストレス関連反応が起こることがあります。
- めまい、睡眠障害、たちくらみ
- 注射部位が赤くなる、腫れる、硬くなる、熱をもつ、痛くなる、しびれる、かゆくなる、内出血になる
- 発熱、悪寒、倦怠感、疲労、無力症、頭痛、感覚鈍麻、失神、浮動性めまい、四肢痛、関節痛、筋肉痛、腹痛、下痢、嘔吐、悪心、リンパ節症、蜂巣炎、インフルエンザ、口腔咽頭痛
- 稀ににショック、アナフィラキシー、気管支痙攣、蕁麻疹、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(これらの症状が疑われたら、すぐに医師にお申し出ください)
- その他に強い副反応が生じていると感じたら、すぐに医師にお申し出ください
体の痛みやしびれ、だるさなどの副反応と思われる異常が続く時や強い副反応が現れた時はご連絡ください。状況に応じて検査、処置や副反応症状に関する診療の協力医療機関へご紹介いたします。
また、健康被害が生じた場合の救済については、健康被害を受けた人または近親者が、『独立行政法人 医薬品医療機器総合機構法』に基づいて手続きを行うことになります。