経腟分娩の途中で、赤ちゃんまたはお母さんの状態悪化により、急いで赤ちゃんを取り出す必要がある場合に「緊急帝王切開」が行われます。

緊急帝王切開が行われる主な場合の症状や状態について説明していきたいと思います。

○微弱陣痛(びじゃくじんつう)

陣痛の持続時間が短い、陣痛の間隔が長い、子宮の収縮が弱い状態が持続すると、陣痛促進剤を使用します。

それが有効ではなく、経腟分娩が困難な場合は、帝王切開に切り替えます。

○遷延分娩(せんえんぶんべん)

子宮口が硬いため十分開かず、お産が長引く状態が持続します。その場合は、緊急帝王切開に切り替えることもあります。

○回旋異常(かいせんいじょう)

出産の時に、産道の形に合わせて、赤ちゃんの頭を回しながら(回旋)下りてきます。

回旋がうまくいかないときは、緊急帝王切開に切り替えます。

○胎児機能不全(たいじきのうふぜん)

分娩中にときどき認められる合併症です。

その多くは、臍帯(さいたい=へその緒)が圧迫されたり、胎盤機能の低下により、赤ちゃんに十分酸素が届けられなくなることが原因です。

そのため、すぐに赤ちゃんを取り出す必要があります。

○重症妊娠高血圧症候群(じゅうしょうにんしんこうけつあつしょうこうぐん)

かつては、高血圧・蛋白尿・浮腫の妊娠中毒症として呼ばれていました。

現在は、収縮期血圧160mmHg以上、拡張期血圧110mmHg以上、蛋白尿2g/日以上の場合、緊急帝王切開が必要となります。

状況により、子癇(しかん=けいれん)による脳出血、HELLP症候群(血小板減少、溶血、肝機能障害)による多臓器不全のリスクが高く、総合病院へ搬送の上で、緊急帝王切開となります。

○常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)

赤ちゃんが出る前に胎盤がはがれることで、子宮内で大量出血が起こったり、母子ともに命の危険が高くなり、緊急に帝王切開が必要です。


急激に多臓器不全に陥り出血が止まらなくなるため、医療体制の整った総合病院へ緊急搬送した上での帝王切開となります。

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