『切迫流産』

切迫流産

妊娠は判明したけれど、不正出血を認めた場合、大丈夫でしょうか?

妊娠中は少量でも不正出血を認めた場合、とても不安になるものです。

そのようなママの不安に少しでも寄り添える診察ができますように、切迫流産について説明させて頂きます。

妊娠22週未満で、胎児の心拍が認められるが、不正出血や腹痛がみられる場合を『切迫流産』と言います。

腹痛は、子宮の収縮が原因で生じることが多いです。

しかし、不正出血は様々な原因が考えられます。

【絨毛膜下血腫】

比較的多いのが、経腟超音波検査で絨毛膜下血腫を認める場合です。

胎のうと呼ばれる赤ちゃんの袋と子宮筋層の間にできる血液のかたまりです。

原因の詳細は不明で、絨毛が脱落膜(子宮筋層)に侵入した際、血管を損傷し血腫ができ、部分的に絨毛膜が剥離した病態と推測されます。

妊娠12週までに縮小、消失することがほとんどです。

不正出血が鮮血から茶褐色へと変化していく場合は、絨毛膜下血腫の縮小が期待できます。

しかし、

  • 胎盤が形成される16週以降も継続して絨毛膜下血腫が認められる場合
  • 絨毛膜下血腫が大きい場合
  • 鮮血を伴う不正出血が継続して認められる場合
  • 月経2日目のような(=1時間に何回もパットを替える必要がある)多量の不正出血を認める場合
  • 痛み止めが必要なくらい(=月経痛のような)強い下腹部を認める場合

上記の場合は、流産に進行する可能性もあるため、慎重に対応させて頂きます。

自宅安静のほか、はり止め・止血剤の処方、入院治療が必要な場合があります。

(職場へ休業の診断書が必要な方は、お申し出下さい。)

また、経時的に経腟超音波にて絨毛膜下血腫の大きさを評価します。

さらに、腟分泌物の所見や細菌培養などから、絨毛膜羊膜炎の有無を評価します。

腟洗浄や抗生剤処方を追加させて頂くことがあります。

※多量の不正出血、強い下腹部痛がある場合は、病院にご連絡の上、すぐに受診して下さい。

妊娠22週未満で出血や下腹部痛を認めたママへ
 

【稽留流産(けいりゅうりゅうざん)】

不正出血や下腹部痛を伴わない場合もあります。

経腟超音波にて、赤ちゃんの成長が止まり、心拍を認めない場合です。

多くの場合は自覚症状がなく、妊婦健診で初めて発覚することもあります。

妊娠12週までの初期流産では、そのほとんどが赤ちゃん側に原因があると考えられています。

つまり、染色体などの要因で、赤ちゃんにもともと成長できる生命力が備わっておらず、早いうちに流産となってしまうのです。

しかし、この場合はママのちょっとした運動や仕事が関係することはほとんどありません。

従って、適切な知識を持ち、過度な不安を抱えることなくうまく対処していきましょう。

ママと一緒に乗り越えていくために、ご心配なことがあれば、私たち医師やスタッフにご相談下さい。

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