産科

妊娠中の気をつけたい病気(妊娠初期から中期)

妊娠中の気をつけたい病気(妊娠初期から中期)



妊娠をしてから気をつけたい病気についてご説明いたします。

妊娠中は赤ちゃんを育てるのに体が一生懸命働いていて、お母さんの免疫力が低下しています。そのため、体調を崩しやすくなります。
手洗いやうがい、十分な睡眠、規則正しい食事はもちろんのこと、無理のない範囲で体を動かす事を心がけて過ごしましょう。

特に感染による症状に発展することがよくあります。

感染症のリスク等を考え、おりものが増えた場合は下着をこまめに変えていきましょう。
また、できるだけお風呂に入り清潔を保ち、体を温めましょう。

赤ちゃんの成長


【 妊娠初期から中期に気をつけたい病気 】


ここでは、妊娠初期から中期に気をつけたい病気をある程度理解してもらい、妊娠中を健康でお過ごし頂けたらと思います。

気をつけたい病気

下記で1つ1つ説明していきます。
気になる症状があれば主治医にご相談ください。
また、定期的に妊婦検診を受診するようにしましょう。

***


細菌性膣炎
【特徴・リスク】
おりものが酸っぱい匂い、悪臭がすることがあります。魚が腐ったような臭いの時、これは雑菌が原因です。
膣内の細菌バランスと整えている乳酸桿菌の防御力が弱くなり、雑菌が増えると、臭いの原因になる物質が作り出されます。
この状態を『細菌性腟症』と言います。腟に炎症は起きてないので、かゆみや痛みはないですが臭うのはとっても嫌ですよね。

そして、『細菌性膣炎』の状況では細菌への防御力も落ちている状態なので、クラミジアや淋病などの性感染症に感染しやすくなります。
妊娠中だけでなく、生理中や生理直後の発症が多いと言われています。

乳酸桿菌が減少する原因はいくつかあります。抗生剤、性交渉、腟の洗浄、ストレス、女性ホルモンの変動(ピル、生理)などです。
この中でも特にリスクとされているのが、性交渉と腟の洗浄です。
性交渉では複数のパートナー、新しいパートナー、コンドームを使わない性行為、女性の外陰部へのオーラルセックスは発症のリスクになります。
腟を洗いすぎると、乳酸菌もいなくなってしまいます。その瞬間はスッキリしますが、その後はむしろ雑菌が入りやすくなります。

おりものの違和感、量の変化、かゆみなどが『細菌性膣炎』の重要な自覚症状です。

症状
・おりものが魚臭い
・おりものが灰色がかっている
・おりものがいつもと違う

【予防として】
・コンドームを使用した性行為
・デリケートゾーンは消毒成分やアルカリ性の強い洗浄液による洗浄を控える
・腟の中までごしごしと洗わない
・おりものの際にはナプキンを交換し清潔に保つ

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絨毛膜羊膜炎
【特徴・リスク】
卵膜は羊膜、絨毛膜、脱落膜の3枚の膜より出来ています。
『細菌性膣炎』よりその膜に感染が波及することを『絨毛膜羊膜炎』と言います。

感染が起こり、炎症が起きた所には、血液中の白血球が集まってきて原因となっている細菌を攻撃します。その時に出る物質が、卵膜や子宮頸管のコラーゲンを分解してしまいます。コラーゲンが分解されるということは、膜の組織が弱くなり、破れやすく、破水しやすくなります。
頸管組織も柔らかくなって(熟化)、赤ちゃんが産まれやすくなるのです。
また、炎症によって活性化するプロスタグランジンという物質には、子宮の筋肉を収縮する働きがあります。早期に陣痛のような子宮収縮が来てしまい『切迫早産』となります。

診断基準を示しますが、自覚できる症状があり、気になる症状があればご相談ください。
治療としては、感染の重症化を避けるために抗生剤投与、早産予防で子宮収縮抑制剤を使用します。
しかし、「下腹部痛」や「38度以上の高熱」「母親と胎児の脈拍が速くなる」などの症状が出現すると、無理に早産を防止するより、赤ちゃんを外に出すことを考えます。
その時、胎児が何週になっているかが重要です。

当院では36週未満の分娩に関しては、出生後の赤ちゃんの安全な管理のために高次医療機関での分娩をお勧めしています。
当院で安心してお産いただくためにも、日常生活から気を付けていただき早期発見・早期治療につながるよう、気になることはご相談ください。

症状
・おりものの異臭
・下腹部の激しい痛み
・38℃以上の発熱
・脈が速い
・採血で白血球、CRP(炎症の指標)が高い など

【予防として】
・ワクチン(妊娠中の接種は限られます)や抗体確認による感染症の対応
・定期的に妊婦検診を受診する など

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絨毛膜下血腫
【特徴・リスク】

『絨毛膜下血腫』とは、胎盤が作られる妊娠初期に多く見られる症状で、出血量が少ない場合は特に心配ありません。中には出血症状がなく『絨毛膜下血腫』に気づかない人もいます。

妊娠は受精卵が子宮内膜に潜り込み、着床したことで確定となります。受精卵は「羊膜」「絨毛膜」「脱落膜」という3つの膜で構成された卵膜に包まれていて、着床すると真ん中の「絨毛膜」から突起した絨毛が胎盤を作ります。
その時、絨毛の血管が破れ出血を引き起こすこともあります。脱落膜に血液がたまり血腫(血の塊)となったものが『絨毛膜下血腫』です。

『絨毛膜下血腫』は妊娠初期に発症し、ほとんどの場合は妊娠中期までに自然消滅します。生理の時の出血量よりも少ない程度であれば、診察時間外に受診する必要はありません。
しかし、妊娠中期を過ぎても出血が収まらず血腫が慢性化すると、胎盤の機能に悪影響を与え、自然流産、常位胎盤早期剥離、死産、早産、前期破水、胎児発育遅延など、幅広い疾患を引き起こす危険性があります。

診断はエコー検査で可能ですが、診断に明確な基準はなく、治療は投薬・安静となります。
状況によっては入院管理を要することもあります。
早期発見し、安静のために休職が必要となる場合もあります。
当院では、「診断書」や「母性健康管理指導事項連絡カード」の発行なども可能です。

症状
・出血
・下腹部の激しい痛み
・38℃以上の発熱
・脈が速い
・採血で白血球、CRP(炎症の指標)が高い など

【予防として】
・定期的に妊婦検診を受診する など

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子宮内感染
【特徴・リスク】
妊娠から産後の感染には、子宮内感染、産道感染、経母乳感染、水平感染があります。
このうち、『子宮内感染(胎内感染)』には上行感染と経胎盤感染があります。

『子宮内感染』が関係して『胎児炎症反応症候群』になり胎児の中枢神経障害を起こすと言われています。

気になる症状がありましたら、ご相談ください。

症状
・下腹部の激しい痛み
・38℃以上の発熱
・脈が速い
・採血で白血球、CRP(炎症の指標)が高い など

【上行感染】
『上行感染』は、腟・ 子宮頸管の病原体が子宮内へと上行し、胎児へ感染が及ぶものをいいます。
『子宮内感染』は、多くの場合、前期破水や細菌性腟症から上行性に頸管炎、絨毛膜羊膜炎、羊水感染、胎児感染へと、感染が波及していくと考えられています。

【経胎盤感染】
『経胎盤感染』は、 妊娠中のお母さんが病原微生物に感染した状態でお母さんの血液内に病原体が存在し、この病原体が胎盤を通過し、胎児へ移行して胎児に感染するものをいいます。

【予防として】
・ワクチン(妊娠中の接種は限られます)や抗体確認による感染症の対応
・有害な細菌殺菌のために十分な加熱調理
・定期的に妊婦検診を受診する など

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前期破水
【特徴・リスク】
本来、分娩前に破水がおこり、胎児娩出となりますが、陣痛が始まる前後に胎児を包んでいる卵膜(羊膜、絨毛膜、脱落膜)が破けて羊水が漏れてくることを『前期破水』といいます。

卵膜部分に雑菌などが侵入すると、炎症を起こすことがあります。
炎症部位に白血球が集まってくると、白血球が持つ酵素の作用で羊膜のコラーゲンがもろくなってしまい、卵膜が破けて『前期破水』を起こしてしまいます。

羊膜・絨毛膜部分に雑菌が入る原因は、腟炎などが考えられます。
『前期破水』が起こると、分娩は進行することもありますが、感染予防のため抗生物質の使用や、陣痛誘発、促進剤を使用してスムーズに分娩に誘導していきます。

羊膜内感染および胎児の感染症、常位胎盤早期剥離、早産になりやすいと言われています。
気になる症状がありましたら、ご相談ください。

症状
・膣からの水っぽいおりものが増加
・下腹部の激しい痛み
・ 38℃以上の発熱
・脈が速い
・膣分泌物の悪臭 など

【予防として】
・禁煙
・性感染症の検査
・子宮内感染の予防 など

○当院では、禁煙指導、性感染症の検査、治療を行っております。

産科

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  7. 妊娠中の気をつけたい病気(妊娠初期から中期)

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